旅の楽しみのひとつに地元グルメがありますね。
食事に入った店で日本酒の品書きを見ると
しみじみと旅情を感じます。
私たち夫婦は、
滋賀県の蔵元へドライブして日本酒を楽しんでします。
滋賀県は中央に広大な琵琶湖を有し
広さは東京23区がすっぽりと入ってしまうほどです。
さらに近江盆地と呼ばれるように、
山々に囲まれた地形から生まれる伏流水が名水と良質な米を育みます。
酒づくりに恵まれた滋賀県には33の酒蔵があり
日本で5番目に古い酒蔵もあれば2010年代にスタートした新しい酒蔵もあります。
その中からいくつかの蔵をピックアップして紹介します。
冨田酒造
琵琶湖の北にある北国街道の木之本宿に16世紀の天文年間創業の冨田酒造があります。
代表銘柄は「七本槍」。
酒名は1583年に起こった賤ケ岳の戦いに由来しています。
織田信長亡き後の覇権を豊臣秀吉と柴田勝家が争い秀吉陣で功名をあげた武将7人の異名です。
冨田酒造はこの戦さより50年程前に創業されました。
大正時代には北大路魯山人が滞在して
その筆が残っており酒のラベルとしても使われています。
酒造りは地元のお米にこだわり、
農家、農業高校、大学とも連携して造られています。
生原酒「七本鎗 木ノ環(きのわ)」の酒造りでは木桶仕込みが復活しています。
全国的には昭和中期に姿を消していきましたが
あえて今、長年受け継がれてきた伝統や技術に光を当て、価値を見直し、
次世代へとめぐらせていきたい
との酒蔵の決意を語られています。
控え目な甘さでフルーティな味わいが評判です。
ほかにも大吟醸の酒粕ジェラードも人気です。
戦国時代の古戦場が散在する湖北地域。
賤ケ岳ロープウェイを降りて目に入る銅像は、
勇猛果敢な武将ではなく名もなき鎧をつけた侍です。
疲れ果て槍にもたれかかり静かに眠るようです。
この地域の人々は、
時には陣に酒や食材、そして力を提供したりして様々な形で戦を見てきたに違いありません。
そんな想いをめぐらせながら、味わうのも一興です。
藤居本家
びわ湖の東に位置し
近江盆地のど真ん中に天保二年創業の藤居本家があります。
近江湖東に連なる鈴鹿山系を源とする愛知川の伏流水を使った
手造りの美酒は総けやき造りの酒蔵で造られます。
代表銘柄は、「旭日シリーズ」。
生原酒も美味しいです。
◉ 純米吟醸生原酒「渡船二号」
◉ 特別純米生原酒「渡船黒渡 滋賀渡船六号」
◉ 特別純米生原酒 「生もと造り」
粕汁用酒粕やご好意でいただく梅もとても美味しいです。
笑四季酒造(えみしきしゅぞう)
県南東部、かつての東海道水口宿に明治25年に創業された普通酒や本醸造酒を造る小さな酒蔵でした。
2010年に笑四季は一新されました。
「モンスーン」「ホテルトワイライト」など
ネーミングはもちろんラベルも彩り豊かでスタイリッシュなものに変わりました。
仕掛けたのは東京農業大学の後輩だった蔵元の娘と結婚した婿でした。
「日本酒で造るアイスワイン」をめざして研究を重ね品質を飛躍的に向上させたのです。
出身の新潟や秋田の若手蔵元と学び交流するなどして技術を磨いてこられました。
今では、県内や全国レベルでも表彰の常連となり注目されています。
醸造責任者の
天地自然の理に従うという哲学のもとに
滋賀県内の優良な原料米を選びぬき手作業と最新技術の融合により
五感を研ぎ澄ませながら寒造りにこだわって製造されています。
Sensation(センセーション)という銘柄には
黒・白・朱・青・金の種類がありすべて味わいが異なります。
黒は乳酸由来のコクと甘み、
朱は青りんご系の爽やかな香りと酸味など
使用する酵母により様々な味わいを醸し出しています。
口にするとつい味を語りたくなるようなこだわりのお酒です。
滋賀県の酒蔵一覧
大津市内
有限会社平井商店 …..浅茅生
浪乃音酒造株式会社…..浪乃音
野洲市、守山市、草津市
甲賀市、湖南市
竹内酒造株式会社…..唯々
北島酒造株式会社…..御代栄
藤本酒造株式会社…..神開
美冨久酒造株式会社…..三連星
西田酒造株式会社…..酔小町
笑四季酒造株式会社…..笑四季
安井利彦酒造場…..初桜
滋賀酒造株式会社…..貴生娘
田中酒造株式会社…..春乃峰
瀬古酒造株式会社…..大甲賀
望月酒造株式会社…..晴朗・寿々兜
東近江市、近江八幡市、竜王町、日野町
水資源が豊富でな地域です。
松瀬酒造株式会社…..松の司
矢尾酒造株式会社…..鈴正宗
畑酒造有限会社…..大治郎
喜多酒造株式会社…..喜楽長
近江酒造株式会社…..志賀盛
増本藤兵衛酒造場.….薄桜
中澤酒造有限会社…..一博
彦根市、犬上郡、愛知郡
老舗の蔵元が多い地域です。
多賀株式会社…..多賀
株式会社岡村本家…..金亀
藤居本家…..旭日
長浜市
冨田酒有限式会社…..七本鎗
佐藤酒造有限会社…..湖濱
山路酒造有限会社…..北國街道
高島市
雪を利用して古くから酒造りが行われています。
吉田酒造有限会社…..竹生嶋
池本酒造有限会社…..琵琶の長寿
川島酒造株式会社…..松の花
上原酒造株式会社…..不老泉
株式会社福井弥平商店…..萩乃露
最後に
紹介したほかにも滋賀県にはいろいろな特徴の蔵元があります。
家族経営の酒蔵もあり、全国流通しない日本酒もたくさんあります。
蔵をめぐると歴史ある建物であったり
機械で絞られていない風味豊かな酒粕などが手に入ることもあったりします。
ぜひ足を運んでみてください。
現地まで行けないという方でも、33蔵が集う「滋賀地酒の祭典」が
東京で約1000名の来場者を集め開催されました。
また、10月1日の日本酒の日の
滋賀地酒で乾杯するプロジェクトにはSNSでも参加できます。
現在、旅行やイベントは思うようにできせんが
いつかきっと復活してくれることでしょう!